ジョルジュ・サンド「愛の妖精」

  • 2008/03/20(木) 21:23:43

愛の妖精 (岩波文庫)愛の妖精 (岩波文庫)
ジョルジュ サンド 宮崎 嶺雄 George Sand

岩波書店 1959-01
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ジョルジュ・サンドについては、ごく貧しい知識しかない。思いつくのは、リストやショパンの恋人であったことや、ミュッセとの恋愛を描いた映画「年下のひと」くらい。「年下のひと」は好きな恋愛映画のひとつ。

「愛の妖精」はフランス中部の農村地域を舞台とした田園小説である。

主人公はランドリーとシルヴィネという双子の兄弟。きわめて仲が良く、いつも一緒だった二人の関係は、十四歳のとき、ランドリーが近くの村に奉公に出たことをきっかけとして一変する。
ランドリーを慕って離ればなれになったことを嘆いてばかりいるシルヴィネは、二人だけの世界から飛び出し、奉公先の一家とも馴染んでゆくランドリーを嫉妬するようになる。
一方のランドリーは、お転婆で嫌われ者の少女・ファデットと親密になり、分別があって優しい彼女の本当の性質を知るにつれて恋慕うようになる。
しかし、ランドリー独り占めしたいと願うシルヴィネはもちろん、ファデットの悪評を知る両親も二人の交際に猛反対する。二人は将来を誓い合いながら、一度離ればなれとなる決心をする。

生意気で悪態ばかりつくお転婆のファデットが、実は賢明で健気な少女だったという展開は、出来すぎのような気がする。その上、ファデットを可愛がらず、みっともない格好ばかりさせていた祖母の死後、実は祖母がしこたま金を貯め込んでいたことが判明する、というのは…あまりにご都合主義的だろう。

それに比べると、ランドリーとシルヴィネの双子ゆえの愛着と葛藤は、とても丁寧に描かれていている。
特に、二人だけの閉ざされた世界から広い世間に飛び立つことに成功したランドリーよりも、失敗したシルヴィネの行き場のない愛情の鬱屈が読んでいてなんだか切ない。

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